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Honda XA-120

 

 
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このページでは、軽トラックの試作車「XA-120」を紹介します。
こちらでも、XA-170やXA-190のページと同様に資料としての完成度を高めるため、分かる範囲で本文に若干の加筆を行い、その部分は青色の文字で表記します。

XA-120
○ 1959年12月 二輪車 ドリーム号の販売が伸び悩んでいたため(?)、軽トラックを’60年夏までに完成、’60年末より市場に供給しうるようにという計画が強力に指示される。
 
〔指示項目〕
1. エンジンは水平対向空冷4シリンダー(積載時 90km/h以上)
2. 軽トラックの中で最大の積載面積を持つこと。(具体的には最も大きな洋服ダンスが積めること)
3. 前後ともリジットアクスル、リーフスプリング支持とすること。

〔車輛の種別〕
・軽自動車(軽規格のトラック)

〔設計員〕
・XA-190の設計員(中村良夫、堀池三郎、栗原清、中島源雄、森潔、塚田虎雄、中川和夫、岡田元浩、松本正雄)だけでは’60年夏までに商品として完成させることが不可能なため、’59年末から’60年初めの間に7名の補充が行われた。(計16名)
また、走行、組み立て、整備を担当するための4輪走行試験係(人員3人)が発足する。
  (XA-170XA-190は設計員が組み立て及び走行テストを行った)
 
〔車体の概要〕 
○ ボディ
 ・セミキャブオーバー形式
 ・アンダーシートエンジン形式
  
○ パワートレイン
 ・直結4段ミッションからプロペラ軸を介してリジッドアクスルを駆動する形式
 ・スパーギア形式のデフ(’60年夏という時期を考慮し、当社で切削不可能なストレート・ベベルギアの使用を断念)
 
○ 足廻り
 ・前後ともリジットアクスル、リーフスプリング支持の車軸懸架形式
 
○ エンジン
 ・排気量360cc
 ・水平対向・空冷4シリンダー
 ・2気化器
 ・オーバーヘッドバルブ形式
 ・クランク軸受けは平面軸受け

(クリックで拡大表示)
XA-120の形体、及びフロントの足廻りが車軸懸架形式であることが確認できる写真。
(芸文社 Nostalgic Hero Vol,88 P74より引用)

※ この画像は、著作権法第32条の規定に基づき「批評・研究のための引用」を行ったものです。 
著作権者の許諾を得たものではありませんので、著作権法の例外を除き、複製、アップロード、頒布などは厳禁とします。 
 
〔開発の経緯〕 
 
1959年末    レイアウト完了
1960年1月末   エンジン出図
         2月にかけてシャシーボディ出図
     3月     この頃よりXA-120の量産化は漠然としてくる
     春頃   出力目標値30PSを強力に指示される
     5月4日   エンジン初号機の発火運転
     5月末    シャシー組み立て完了
        ※  5月頃には不急の研究試作となる
     6月      荒川テストコースにおける完熟走行開始
     8月中旬 四輪車関係者による長野方面における長距離走行テストをもってテスト開始
1961年  春   2X-120が完成するまで各種テストを行う

           (XA-190とXA-120の開発スケジュールを並記するとこうなる↓)

(クリックで拡大表示)

〔テストデータ〕
○ 最高速度 75km/h
○ 0-400m加速 31.3秒
○ 箱根登坂(湯本-芦ノ湯) 24'05''
○ 伊香保登坂(工場前-ヘルスセンター) 9'04''
○ 定地燃費 20km/L (30km/h)

以上は、空車重量495kg(F 250kg :R 245kg)時の計測値。
このテストデータに関して中村氏は、以下のような所見を述べている。
『改修テストを行っていない当初そのままの数値としても必ずしも満足すべきものではなかった。ただし、マツダK360、くろがねベビィ(※正しくはベビー)を想定の対抗馬としたが、定地燃費を除いた数値はいずれもこの2車よりも20%程度上回る性能である。(いずれも実測値)』(芸文社 Nostalgic Hero Vol,88 P77より引用)
   

〔テスト結果〕
○ エンジン関係 
・クランク軸受け・・・ホワイトメタル、ケルメット、調質クランク、高周波焼き入れクランクを用意し種々のテストが行われたが、基本的な問題は油温と油圧に絞ることができ、24〜25ps/8500rpm、空冷4シリンダー形式 360cc、エンジンはケルメット(KJ-3)を用い高周波焼き入れクランクで油圧2kg/cu、油温100℃以下(最高110℃)を確保すれば十分実用耐久を得られるであろうことが確認された。
・エンジン騒音・・・(平面軸受けは)ローラー軸受けよりもはるかに有利であり、コストもはるかに安く、取り扱いもはるかに容易である。
・冷却・・・2ps程度吸収の冷却ファンで十分実用上の冷却が得られ(ベンチテストでは不足)、夏期信州方面の長急坂路でもプラグ等温度最高200〜240℃(通常140〜170℃)であることが確認された。
・燃費・・・高速走行燃費は他車の水準より高いが実用速度燃費は悪く(11〜14km/L)、今後の積極的な改善を必要とする。
以前として残ったもの(問題点)は騒音と燃費の点である。
クランク系によるケース壁の高周波振動音はプレーンメタルになって大幅に改善されたが、高速回転による冷却ファン振動音、バルブギア回りの音など商品としては全然不十分であると考えられる。
 
○ シャシー関係 
・想定重量450kgを約45kg上回り495kgとなったところに問題があるが、強度剛性からの兼ね合いとなるので藤沢飛行場などを借用してやや本格的な安定テストを行った。
結論としては強度剛性面、安定性、両面から前輪独立懸架が望ましく、剛性もこの程度の剛さは必要であることを確認した。
なお、この種の軽トラックとして現在の国内道路では最低地上高は160mm以上であることを要し、安全を期するならば200mmあることが望ましいことを各種の地上高テストの結論として得ている。
・当初の走行結果からも予想通り走行安全に問題ありと見て、既存フレームに改修装着が最も簡単なトレーリングアーム形式独立懸架の随試(随時試作)を行った。
 
○ ボディ関係 
・やや本格的に設計されたボディを架装したのはXA-120が初めてであり、設計、組み立て、艤装すべてについて練習であり、勉強することが第一義であったが、この目的は十分達したと考えられる。
・次に試作改善すべき項目であるが、残念なことにボディ試作能力は当時の研究所としては極端に低く、ボディの試作そのものが日程的に困難で、これらの目的を達することはできなかったし、不十分な試作しか行われていない。
 
※ XA-120のテスト結果及び所見については『61年3月15日、X-120テスト結果のまとめ』中村良夫として集約されている。
 



XA-120に出された3つの指示項目に対して、中村氏は『技研に於ける4輪開発の経過』の中で以下のような見解を述べている。
『1. 2.は問題なきも、3. についてはXA-170、XA-190の経験から類推しても90km/h走行を可能にし、かつ安全性を確保するためには如何にしてもフロントリジットアクスルは不可であり、トレーリングアーム形式、またはウィッシュボーン形式の独立懸架とするべきことを設計提案したが却下され、上記の企画指示そのままの形で具体的レイアウトに入った。』(芸文社 Nostalgic Hero Vol,88 P76より引用)
 
中村氏の提案を却下したのは、やはり本田社長だろうか…。 
皆さんご存知のように、T360は軽トラックであるにも関わらず前輪にダブルウィッシュボーンの独立懸架が奢られているが、これはスポーツ360と部品を共用化したからそうなったのではなくて、上記のように最初の試作軽トラック開発時から独立懸架にすべきと中村氏が提案していて、それが実現したものなのである。
軽トラックで90km/h以上(積載時)の高速走行を可能とするには、前輪独立懸架は必須の要件だったのだ。 

それと、ここで一番注目すべきは、〔開発の経緯〕に朱記したように’60年春に、出力目標値30psが強力に指示されていること。(指示したのはやはり本田社長だろうか…?)
T360のエンジンが高出力なのは、スポーツ360のエンジンが流用されたから棚ボタ的にそうなった訳ではなくて、実はこの時の出力目標値を達成した結果なのである。
そもそも、T360以前の試作軽トラックが既にエンジン出力30psを標榜して開発されていたのだ。
例えばスポーツ360の企画がなかったとしても、T360は「前輪独立懸架・30psの高出力エンジン」だったのである。
 

 


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