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Honda XA-190

 

 
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このページでは、軽規格スポーツカーの試作車である「XA-190」を紹介します。
本来ならば、XA-190が開発されるに至った経緯を冒頭に書くべきなのでしょうが、『技研に於ける4輪開発の経過』には残念ながらそういったことは一切書かれておらず、また別の資料を参考するにしても、資料によって内容に食い違いがありどれが真実なのか私には判断がつかないので、ここでは敢えてその点には触れないでおきます。
またここでも、XA-170のページと同様に資料としての完成度を高めるため、分かる範囲で本文に若干の加筆を行い、その部分は青色の文字で表記します。
 

 
XA-190
  
○1958年末、軽スポーツ車の試作が指示される。 
 
〔指示項目〕
・360ccの軽スポーツ車で 2+2形式(二人の大人と二人の子供)、120km/hのスピードを出せること。
・ 空冷対向4シリンダー形式で前置きエンジン、後輪駆動のオーソドックスな形式とし、且つ後輪支持は
   オーソドックスなリーフスプリングとリジットアクスルとすること。
・ このクルマで120km/hを確保するには約28〜29psが必要となるため、エンジン出力目標を
    29ps/8000rpmとすること。
 

〔車輛の種別〕
・軽自動車 (軽規格のオープンスポーツ)
 

〔設計員〕 
○ XA-170の設計員(中村良夫、堀池三郎、栗原清、中島源雄、森潔、塚田虎雄)に、中川和夫、
  岡田元浩、松本正雄の3名を加えた9名

 ・中村良夫…プロジェクトリーダー
 ・堀池三郎…機械工作担当
 ・栗原清  …エンジン担当
 ・中島源雄…ボディ担当(?)
 ・森 潔  …シャシー担当(?)
 ・塚田虎雄…不明
 ・中川和夫…エンジン担当
 ・岡田元浩…サスペンション担当
 ・松本正雄…エンジン担当
 
 ※ 車輛の組立て・仕上げ、実車テスト(走行テスト)も設計員が担当する
 
 
〔車体の概要〕
○ ボディ・シャシー
 ・セミモノコック形式 
 ・1号車はポリエステルボディ(空車重量500kg)、2号車はオールスチールボディ(空車重量約470kg)
 ・フロントエンジン、リアドライブ形式
 ・ルーフは全て幌
 ・ステアリングは日野ルノーのものを流用
 
○ パワートレイン
 ・乾式単板クラッチ
 ・4段トランスミッション(2速、3速、4速シンクロ、シンクロはBMC式)
 ・減速比1.5のチェーン減速を行い、ゴムカップリング(住友SAG形式)で支えたプロペラシャフトで
    リジットアクスルデフを駆動
 
○ 足廻り
 ・フロント…横置きリーフスプリングによる独立懸架形式
 ・リア…リーフスプリングとリジットアクスルの組み合わせ(車軸懸架形式)
 ・ブレーキ…デュオサーボ方式に軽合金ドラムの組み合わせ
 
○ エンジン 
 ・排気量 360cc
 ・水平対向・空冷4シリンダー
 ・4気化器:独立ポイント形式(資料には“ポイント”と表記されているのだが“ポート”が正解だと思う)
 ・チェーン駆動によるシングル・オーバーヘッドカム形式
 ・組立式クランク
 ・ビックエンド及びメインジャーナルにニードル・ローラーベアリングを使用
 

〔製作台数〕
・2台 (ポリエステルボディ車とスチールボディ車 各1台)

(クリックで拡大表示)
製作された2台のXA-190。残念ながら写真ではボディの材質までは判らない…。 
(二玄社 別冊CG ホンダ・スポーツ P19より引用)

(クリックで拡大表示)
このように木型にFRPをハンドレイアップした写真が残っているので、
2台作られたうちの1台がポリエステルボディ車だったことは間違いない。
(二玄社 別冊CG ホンダ・スポーツ P19より引用)
 
※ この画像は、著作権法第32条の規定に基づき「批評・研究のための引用」を行ったものです。
著作権者の許諾を得たものではありませんので、著作権法の例外を除き、複製、アップロード、頒布などは厳禁とします。   

〔開発の経緯〕 
1958年末     360cc軽スポーツ車の試作が指示される
1959年 1月    具体的レイアウトにかかる
     4月    エンジン出図完了
     5月15日 シャシーボディ出図完了
     9月    エンジン組立完了
           (一般的なチューニングのみで耐久テストも行われないままシャシーに搭載される)
     10月中旬 シャシー組立完了(完成)
           (設計員によって一通りの定地テスト・長距離走行テストが行われた) 
1960年 4月中旬 この頃までテスト、改修が行われたが、’59年には次のXA-120(軽トラック)の計画が
                        進められ、(XA-120の)量産開始時期が’60年夏と指示されたためにこれ以上の
                        テストで改修のエネルギーをXA-190に割くことが不可能になったため、1号車の
                        走行約4000km、従って耐久性に関しては全く未知のまま中止された。
 
 
〔テスト結果〕
○ エンジン出力 
 ・4気化器、独立ポート形式で最適排気管長(約900mm)の場合、最高出力約29ps/8500rpm
 ・        〃        集合排気管形式の場合、最高出力約24ps/8000rpm
 ・2気化器、2ポート方式(左右のヘッドブロックにおのおの気化器を設けたもので180度不等間隔吸気となる)で最高出力約20ps/7000rpm
 
○ 最高速度 (計測地:荒川テストコース)
 ・単一排気管…124km/h (ただし、計測はストップウォッチによる)
 ・集合排気管(ループ+マフラー)…120km/h

○ スルーギア加速 (0→50km/h)
 ・18秒 (集合排気管)
 
○ 箱根登坂 (国道 湯元-芦ノ湯間)
 ・19' 21''
 

〔主要な問題点〕
1. 根本的に360cc、3mのボディで高速スポーツ性を具現した車の可否。
たしかに初期の走行性能は実現することができたが、高速走行を可能にするには常にエンジンを高回転域で使用しなければならず、騒音、振動のため運転は不快であること。
小さな軽い車での高速安定は相対的(少なくとも小型車に対し)に劣り、しかもスペース、乗り心地ともに非常に疲れやすく快適ではない。
これは当初より担当部隊では苦慮した根本的なテーマであるが、結果的にも全くその通りであった。
すなわち、360cc、3mに抑えてスポーツ車を作るべき技術的な必然性は皆無であるということである。
 
2. エンジン騒音。
種々のテストの結果、不快な高周波騒音は組立クランクを支えている中央ベアリング(ニードルローラー)が発生する振動をクランクケース壁に拾っていることが最も致命的で、5000rpm以上の回転は非常に不快であることが判ったが、エンジンの大幅な改修をするための改造テストは行っていない。
しかし、前のX-170の結果及びこの結果により、ぜひ平面軸受けとすることが、コスト、整備上の観点からも望ましいことが設計担当部隊としては確認された。

3. プロペラシャフト振動。 (直径=60φ、厚さ=1.6mm、長さ=1400mm)60km/hで1/2次振動を誘起し不可であったので、センターベアリングを設け、ポッド接手をクロスシャフトに改修した。
一応の120km/h走行は可能であったが、暫定処置にとどまりさらに積極的な改修を要す。
 
4. ブレーキの問題。
XA-190のブレーキはいわゆるデュオサーボ形式というもので、ブレーキ力とセルフロック(純粋なセルフロックではなく踏力変化に対するブレーキ力の非線形の度合いが急激に過ぎるために起こる意識しないロック)に対し多くの解決策を必要とした。
基本的にはブレーキ系の剛性の問題で振動の度合いの問題から決めるべきものであることがわかり一応の結論に達した。
このような軽本来の車にとってデュオサーボ形式はなんらの技術的必然性を持たない。
むしろオーソドックスにリーディングトレーリング形式であるべきだったのが確認された。
なおこの間、随試的にディスクブレーキによるアンチスキッドブレーキを単体試作、テストしている。
以外は油圧源の圧力不足のため可能性チェックやテストにとどまった。
 
5. 走行安定上の問題。
端的に表現すればXA-190の安全上の問題は尻振り現象であり、初期の状態では悪路における40km/h以上の走行は極めて不安定であった。
1.に述べた軽い小さい車であることが根本的な原因であり、当時のトヨペットクラウン、ダットサンに比較すれば決して劣るものではないが、軽く小さいために同一の撹乱(走行時の尻振り)があった。
こんなような状態によって車に影響を与えていることがわかった。
しかし、もちろんこれで満足することはできないので、後輪荷重、サス形状、タイヤ圧、リアダンパー、リアスタビライザー、パナールロッド、リバウンドバンド、リア及びフロントバネレート、ステアリング系につき多くのテストを繰り返した。
 
6. 居住性、乗り心地。 
居住性、乗り心地については、前記のように騒音の過大(高度消音)が致命的である以外については小さいため特に高速走行時の疲労が宿命的なものとするならば少しでもこの難点をカバーするために2+2シート形式は不可であり、余裕で2シーターとして2人になるべく広いスペースを割くべきものであることを確認した。

※重要と思われる部分を赤字で記した
※ XA-190の主要な問題点は『60年4月X-190走行テスト結果報告』としてまとめられている。レポートの作成者は中村良夫氏。


『技研に於ける4輪開発の経過』『60年4月X-190走行テスト結果報告』は、スポーツ360を開発する際に参考にされたようで、XA-190の問題点とされた箇所がスポーツ360ではきちんと改められている。
例えば、スポーツ360にはリーディングトレーリング形式のブレーキが採用されているし、またスポーツ360は最初から2人乗りとして設計されている。
スポーツ360の後輪を独立懸架としたのも、車軸懸架を採用したXA-190に尻振りの悪癖あった反省からである。
それと、最終的にスポーツ360が発売されなかった理由も「1.」(赤字の部分)に見て取れる。(『技研に於ける4輪開発の経過』が書かれたのはスポーツ360の開発が進められている最中であったことを考えると、1.の赤字部分の記述は大変興味深い)
エンジンの軸受けに関しては、次に紹介する軽トラックの試作車「XA-120」で平面軸受けが採用され、テストで比較的良好な結果を得られたのだが、にも関わらずスポーツ360に転がり軸受けが採用されたのは、別の資料によれば本田宗一郎の強い意向によるものらしい。
 
 
XA-190とスポーツ360の関係について、上にスポーツ360にはXA-190の経験が活かされていると書いた。
それでは、両車のプロジェクトリーダーだった中村良夫氏は、XA-190とスポーツ360の関係をどう考えていたのだろうか?
このことも『技研に於ける4輪開発の経過』に記されている。
曰く…
『’62年11月の現在、AS250(軽スポーツカー:スポーツ360の第2世代モデル)という同性格の車のテストを進めているわけであるが、同性格ながらXA-190と(AS250)はエンジンからボディに至るまで全然共通した構成がなく、全く別の車であることに企画としては大きな損失を内包している。』(芸文社 Nostalgic Hero Vol,88 P75より引用)
 
このように、中村氏はXA-190とスポーツ360を全く別の車と考えていたのである。
スポーツ360のルーツをXA-190に求めるような記事を何度か目にしたことがあるが、中村氏に言わせればそれは正しくないということなのだ。
では、スポーツ360の先祖にあたる車は一体どれか…。あるいはそう言う車があったのかなかったのか。
その真相は追々明らかにする予定です。

因みに、XA-170とXA-190の開発スケジュールを併記すると↓このようになります。


(左が実用車の系譜、右がスポーツカーの系譜:クリックで拡大表示)

XA-190の開発が中止されたあと、’60年11月にXA-190の流れをくむ2人乗り軽スポーツカー(フロントエンジン、フロントドライブ、水平対向4シリンダー、独立ポート、4気化器、30ps)が企画されるも、レイアウトにすら至らず開発は中止され、以降、TAS-260(スポーツ360の第1世代モデル)の開発が指示されるまで、スポーツカーの開発は行われていない。(←ココ割と重要)
では、スポーツカーの開発が途絶えていた間、四輪開発部門は何をしていたかというと、開発のリソースのほぼ全てを軽トラックの開発に傾注していた。
T360の試作車、XAK-250が誕生するまでの間に、開発部門ではXA-1202X-1203X-120の3種類の軽トラックを試作していたのである。

次回は、その3種類の試作軽トラックの中から、最初に作られたXA-120を紹介します。
 
 

 


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